生ゴミを燃やさずに処理するという方法を知ったとき、
吉田の頭の中で何かはじけた。
一方、吉田はウジエスーパーに入社してから地球環境についても真剣に考えるようになっていた。地球温暖化が漁業や農作物に与える影響、化石燃料を使って焼却処分される廃棄物やレジ袋の問題など、どれもスーパーの営業とは切り離せない問題ばかりだ。
ウジエスーパーでも営業活動を通して排出される廃棄物を少なくする努力はしているものの、それでもどうしても出てくる残渣といわれる生ゴミがあるのも事実で、「環境に優しい廃棄物処理の方法はないのだろうか・・・」という思いが吉田の中でずっとくすぶっていた。
廃棄物の処理について解決策を求めて、吉田は片腕の菅原、環境コンサルタントの加藤と3人で東京と仙台で開催された環境展に足を運んだ。そこで出会ったのが"コンポスト=ゴミの堆肥化"という方法だ。コンポストとは、生ゴミを燃やさずに酵母菌を使って完全発酵させ、有機肥料として再利用するという方法で、初めてそれを知ったとき、吉田は目からうろこが落ちる思がした。そして同時に、ずっと空回りしていた"リサイクル""循環"というキーワードが、一気につながりだした。
そこに廃棄物処理の
ウジエスーパーグループの理想型があった。

NEWクリーンバイザーから出来る
有機肥料投入した残渣は10分の1の
量の特殊肥料"無限"になります
環境展ではさまざまなメーカーから生ゴミ処理の装置が展示されていた。メーカー各社の環境への思いが創意工夫と情熱で、それぞれ独自性のある商品として、プレゼンテーションしていた。一長一短ある、そう感じた。吉田は環境展を回りながら、以前から営業に来ていた多賀城市にある相澤製作所のことを思い出していた。
後日、吉田は相澤製作所が開発した装置についてじっくり説明を聞き、「これだ!」と直感すると同時に、これほどまでに自分たちの理想に適った装置があったことに驚きさえ感じた。その装置、"NEWクリーンバイザー"は、24時間で生ゴミを完熟発行させ有機肥料にする。毎日営業しゴミが出るスーパーにとって、24時間で
処理ができれば、ゴミがたまらずに済む。
このNEWクリーンバイザーとの出会いは、吉田の頭で渦巻いていた複数の課題が整理されるきっかけとなった。つまり、生ゴミをコンポスト化することによって、環境にやさしい廃棄物処理ができるのと同時に、農作物などに活用できる有機肥料を作ることができ、この肥料を使った米づくりは、ウジエならではの思いがこもった特徴のある米づくりになる。さらに、コンポスト事業をウジエクリーンサービスの新事業として立ち上げることによって、新たな障害者雇用の創出も実現することになり、まさに一石二鳥ならぬ、一石四鳥、五鳥にもなるのである。
●NEWクリーンバイザーとは?
NEWクリーンバイザーは、特殊な酵素の働きを利用した、完熟分解処理装置。発酵槽に生ゴミを投入し、24時間かき混ぜると、完熟の有機肥料が完成。発酵時の腐敗臭がなく、人体にも無害で、60〜70度の高温で処理するため雑菌も死滅します。環境問題や安心安全の食への要望を受けて、今後、大いに注目されることが予想される装置です。